アルパカログ

プログラミングとマネジメントがメインです。時々エモいのも書きます。

努力の方向を間違えないために知るべきコト「人事の超プロが明かす評価基準」を読んで

会社員も30代に差し掛かると、褒めたり叱ったりしてもらえる機会がぐんと減るなぁと身をもって感じる。

人が成長するために「気付き」を得るには、自分で気付くか人に気付かせてもらうかの2通りしかない。

耳の痛いアドバイスに対しては常にオープンな姿勢でいたい。人が言ってくれないのであれば、書籍に求めよう。

「今の自分に足りていないものはなんだろう?」

人事の超プロが明かす評価基準』はその問いに答えてくれる。本書は新人、一人前、マネージャーといったキャリアの各段階で求められる普遍的な価値を、45のコンピテンシーに分けて紹介している。

キャリアの各段階で「会社が社員に求めていること」は、どんな会社も、どんな業界も、ほぼ同じなのです。

この記事では、本書の内容を自分なりにまとめた。

評価と期待

評価とは、良い点と足りない点を明らかにして気づきを与え、成長を促すことです。

評価に対する不満は主に次の3つに分類される。

  1. 評価者の主観で客観性がない
  2. 評価基準が不明確で、評価者によって判断が変わってしまう
  3. 何をしたら評価されるのかわからない

このうち3の「何をしたら評価されるのかわからない」については、会社や業界によらない、普遍的な「会社が社員に求めていること」が存在する。

「会社が社員に求めていること」とは、一言で言えば成長と変化である。

会社という組織では、「現状維持」は決してプラスには評価されません。「課長のまま」という期間が長くなるにつれて、次第に会社が持て余す「困った人」という位置づけに変化していってしまうのです。

では「課長のまま」を脱するためにはどんな成長や変化が必要なのか?

例えば、課長に求められるのは「目標達成」であり、部長に求められるのは「目標設定」であるという、キャリアの各段階で求められることの違いをまず理解し、次に向けた行動を起こさなければならない。

それらを詳細にまとめたのが45のコンピテンシーである。

45のコンピテンシー(抜粋)

部下の褒めるべきポイントを探すのに苦労するのは、上司自身が褒めるべきポイント、つまりキャリアの各段階で求められる価値を理解していないからである。

本書では、45のコンピテンシーをそれぞれ新人、一人前、チーフ、課長、部長、役員に分類している。一部を抜粋して紹介する。

新人に求められるコンピテンシー

  • ルール遵守
    • 約束・期限・時間を守る
    • ルール・規則を守る
  • チームワーク
    • チームで積極的に協力し、困っている人を助ける
    • 人の意見を受け入れ、協調している
    • 自分が得た情報をチームメンバーに適宜伝える
  • 共感力
    • 他人の気持ちを常に慮っている
    • 他者の異変に気付く

チーフに求められるコンピテンシー

  • 柔軟な対応
    • 時代や環境の変化に対して、前向きに適応できる
    • 他者の意見を受け入れ、自分の考えや行動を変化させる
    • 新しい考え方を積極的に歓迎し、受け入れる
  • 動機づけ
    • 周囲に仕事の目的・意味を伝え、チーム全体のやる気を高めている
    • メンバーを気遣い、励まし、やる気が落ちている人を適切にフォローする
    • 自分の力だけではなく、チーム全体の力で成果を出している

課長に求められるコンピテンシー

  • 目標達成
    • 目標の達成にこだわり、決してあきらめない
    • 目標を達成するために、あらゆる手段を尽くす
    • 目標達成の阻害要因を取り除く
  • 傾聴力
    • 相手の話をしっかり聞いている。相手を理解しようとしている
    • 相手の話を否定せず、共感を示し、すべて吐き出させる
    • 自分の価値観を一方的に押しつけず、相手を肯定して受け入れる

評価ポイントは年齢によっても変わってくる

45のコンピテンシー以外の視点として、年齢によっても求められるポイントが変わってくることに注意が必要だ。

私はつい、募集要項によく年齢不問と書いてあったり、「何かを始めるのに遅すぎるということはない」という言葉もあったりして、年齢は関係ないと思い込んでいたが、そうではないらしい。

本書によれば、20代なら周囲からなんでも吸収する素直さが求められるし、30代なら周囲を巻き込む力が求められる。なるほど、言われてみると確かにそうかもしれない。

30代だったらこれくらいできないとね」は実際にあるということだ。

4タイプの働き方

45もあるコンピテンシーや、年齢を重ねるごとに重みを増す周囲からの期待に、不安になって立ちすくんでしまう人は少なくないだろう。

けれど「困った人」にはなりたくない。どうすれば良いのだろう?

全てのキャリアは「オペレーター」「オペレーションマネージャー」「スペシャリスト」「コア」の4つに分類される。言い換えると、将来の働き方をこの4つの選択肢から選ぶことができるのだ。

  • オペレーター
    • 決められたことを指示通りに行い、誰がやっても同じ結果が求められる仕事
    • 新人、一人前クラスのコンピテンシーが求められる
    • アルバイトやパートなど非正規雇用が多く、働いた時間で給与が支払われる
  • オペレーションマネージャー
    • オペレーターを取りまとめる管理職
    • チーフや課長クラスに相当
    • 月給制が多い
  • スペシャリスト
    • 特定の領域で高い付加価値を提供する専門職
    • 起業・独立して自営するケースだけでなく、企業内で業務委託契約契約社員であるというケースも
    • 付加価値を出せば出すほど収入が高くなる
  • コア
    • 部長や役員クラスなど、企業経営を行う幹部・幹部候補
    • 正社員だけでなく、委任契約による年俸制のケースも
    • 時間に関係なく、価値創造によって高い収入が得られる

収入を重視するならコアかスペシャリスト

コアとして幹部クラスになれば年収1000万円以上、スペシャリストとして独立して成功すれば会社員の何倍もの年収を稼ぐことができる。

反面、リスクもある。

コアなら価値創造のための永続的な知識の吸収、人脈作りが当然とされ、オンオフの区別なくプライベートや、ときには健康をも犠牲にして仕事について考えていなければならない。

スペシャリストとして組織を離れれば、より自由な生き方ができる一方で、同業者はすべてライバルであり、常にスキルアップしなければ生き残ることができない。また、専門知識が陳腐化すると厳しいという側面もある。

時間や自由を重視するならオペレーターやオペレーションマネージャー

オンとオフの明確な切り替えが可能で、プライベートの時間を確保することができる。コアやスペシャリストになれる能力があっても、オペレーターやオペレーションマネージャーとして幸せな人生を謳歌している人も大勢いる。

もちろん、こちらにもリスクはある。

オペレーションマネージャーは、オペレーターよりも正社員として高めの安定した収入が得られる一方、上と下の板挟みによる人間関係のストレスは大きい。また、オペレーションマネージャーのままでいると、コア人材としての見込みがないと判断され、退職勧奨されてしまう危険性もある。

オペレーターの場合、給与は300万円以下のケースが多く、仕事に求められるのは「誰がやっても同じ結果」なので、同じ仕事が安価にできる人や地域、国があれば仕事がなくなってしまう危険がある。とはいえ、プラスアルファの部分を工夫することで、収入を増やしキャリアの道を開くことはできる。

評価される人とは?

いろいろな視点で評価やキャリアについて見てきたが、評価される人とはつまるところ影響力のある人だという。

「評価される人」=「影響力のある人」

これは自分なりの解釈だが、評価される人とは、どれだけ相手の立場に立って考えられるか、見えていないのを当然として行動できるかであるように思う。

本書では評価時のアピールについて次のように注意点を挙げている。

  • 「わかってくれているはず・見てくれているはず」は、ありえないと心得ること
  • 良い点と悪い点、双方をきちんと理解し、認める
  • 評価シートは、読み手の読みやすさを重視してほど良い分量にまとめる

そして影響力についてだが、影響力は役職者の特権ではないということだ。本書ではフォロワーシップの重要性が説明されている。

フォロワーシップは、集団の目標達成に向けてフォロワーがリーダーを主体的に補助して行動することです。フォロワーには、リーダーの指示に従って成果を上げるだけでなく、自発的に意見を述べ、リーダーの誤りを修正することが期待されています。

組織が出す結果に対して、リーダーによる影響は1〜2割、フォロワーによる影響が8〜9割にものぼるそうだ。

これからオペレーションマネージャーを目指すという人は、フォロワーシップをいかに発揮できるかということを考えてみると良いかもしれない。

おわりに

『人事の超プロが明かす評価基準』は耳が痛くなる、いや、耳も頭が痛くなる気付きに溢れた本だ。

キャリアに悩んでいる人はもちろん、「最近叱られてないなぁ」という人や「次は何を勉強しようかな」という人にぜひ読んでほしい。というか、2〜3時間で読めるので読まない手はないだろう。

一度読んで終わりではなく、45のコンピテンシーはときどき見返したくなる、そんな本だ。