アルパカログ

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そして、採用は営業である「面接の強化書」まとめ

マネージャーの仕事は育成、評価、採用です。

これらのうち私が最も避けてきたのが採用でした。

というのも、被育成者、被評価者のような受動的経験を振り返ったときに、一番経験が少なかったのが採用だったからです。

今回、経験の少なさをカバーすべく読んだのが「面接の強化書」という本です。

採用全体を広く見ながら面接の中で注意すべきことが網羅されています。

このエントリでは「面接の強化書」の内容をまとめます。

採用面接の3つのキーワード

採用面接のキーワードは「共感」「認知」「熱意」です。

  1. 共感
  2. 認知
  3. 熱意

共感は説明不要かと思います。認知は何を認知するのかということですが、それは相手(応募者)の存在自体や考え方です。相手をひとりの人間として向き合い、理解しようと努めるということですね。

最後の熱意には4種類の熱意があります。「人の採用に対する熱意」「応募者への熱意」「会社や所属する部署への熱意」「自分自身の生き方への熱意」です。

  1. 人の採用に対する熱意
  2. 応募者への熱意
  3. 会社や所属する部署への熱意
  4. 自分自身の生き方への熱意

「人の採用に対する熱意」と「応募者への熱意」は少し似ているように見えます。前者は「本当に優れた人と働きたい」という熱意で、後者は「応募者のことをもっと知りたい」という熱意です。

最後の「自分自身の生き方への熱意」は「志」とも言い換えられるものです。志を熱く語れる面接官は、応募者にとってとても魅力的に映ります。

共感、認知、熱意の3つを備えた上で、次は面接官に求められる役割について見ていきましょう。

面接官に求められる6つの役割

面接官に求められる役割は「ヒアリング」「ジャッジメント」「アピール」「モチベイト」「アクション・コーディネイト」「クロージング」の6つです。意外と多いですね。

  1. ヒアリング
  2. ジャッジメント
  3. アピール
  4. モチベイト
  5. アクション・コーディネイト
  6. クロージング

「ヒアリング」は傾聴という意味だけでなく、いかに相手の本音を引き出せるかということまで含みます。本音を引き出すためには、安心して話してもらうための雰囲気作りが大事です。

「ジャッジメント」は面接を終えてからの判断だけではありません。むしろ面接の前に欲しい人材を言語化しておくことが重要です。事前に言語化して理解しておくことでスキーマ(思い込み)を排除します。

「アピール」はその名の通り、自社や自組織の魅力を伝えていくことですが、面接官にとっては身近すぎるがゆえになかなかエピソードが出てこないことがあります。欲しい人材に訴求できるように事前にあらゆる角度から洗い出しておく必要があります。

「モチベイト」はいかに相手に入社意欲を持ってもらうかということです。一見すると「アピール」と重複しているように見えますが、アピールが自社や自組織の魅力を伝えるのに対して、「モチベイト」では面接官自身の入社動機をドラマチックに自分の言葉で語ります。

「アクション・コーディネイト」では面接合格者に対し、相手の状態を考慮して次に何をすべきかを考えます。次の面接の面接官は誰が良いのか、面接で見極めきれなかった点は何なのか、次は面接ではなくフォロー面談が良いのかなどです。

「クロージング」は欲しい人材に対して入社の意思決定を促すことです。最終面接に合格しても内定を辞退されてしまうことがあります。単に口説くだけでなく、意思決定の妨げとなっているものは何かを探り解決していかなければなりません。

こうやって見ると、アクション・コーディネイトやクロージングなど、面接官の役割は面接の中だけにとどまらないことに気付かされます。次に、面接官の心得についても見ていきましょう。

面接官の八ヶ条

面接官が心得ておくべきことは8個あります。人間が一度に覚えられるのが3~7個であることを考えると少し多いですが、どれも大事なことなのでときどき見返して覚えておきたいものです。

  1. 自分よりも優秀な人材を採ること
  2. 当社に入りたい人材より、欲しい人材を採ること
  3. 熱く、当社について語ること
  4. 本音の仕事観を語ること
  5. 入社動機はドラマチックに語ること
  6. 自分一人ではなく、周囲を巻き込むこと
  7. 大胆に口説くこと
  8. そして、採用は、営業である

いくつかピックアップして説明します。

「自分よりも優秀な人材を採ること」とは、今現在の時点で上回っていなければならないというわけではなく、数年経つと自分を超えてくれるような期待を持てる人材を採ろうということです。人はともすると、防衛本能から自分が制御しやすい、自分と似た傾向の人を採ってしまいがちです。そうではなく、自分を超えてくれるような人を採用しましょう。

「当社に入りたい人材より、欲しい人材を採ること」認知度が高くなく応募者の少ない募集ほど、欲しい人材よりも入りたい人材を採ってしまいがちです。今は入社意欲が低くても欲しい人材を採用することが面接官の存在意義であると考えましょう。

「そして、採用は、営業である」営業との違いは、物を買う決断をしてもらう代わりに自社で働くことを決断してもらうということです。

次は、面接の評価で陥りがちな誤りについて見ていきましょう。

面接評価で陥りがちな誤り

評価の経験がある方はご存知かと思いますが、評価エラーと呼ばれるものがあります。評価エラーには次のようなものがあります。

  • ハロー効果
    • 部分的な印象でその人全体を推し量ってしまう傾向
  • 対比効果
    • 直前の相手と相対的に比べてしまう傾向
  • 中心化傾向
    • 何人か面接しているうちに評価が中間値に集中してしまう傾向
  • 寛大化傾向
    • 面接官と共通点がある場合に評価が甘くなる傾向
  • ステロタイプ傾向
    • 全く関係のないことを取り上げて「○○だから××だ」というように偏った判断基準で評価をしてしまう傾向

これらはまず知っておくことが大事です。知った上で自身の考えがこのようになっていないかを冷静に判断しましょう。

最後に、面接で誰もが通る道である「最後に迷ったときの判断」について見ていきましょう。

最後に迷ったときの判断

面接の評価対象になるのは応募者の過去の行動事実です。面接では応募者の過ごしてきた人生(過去の具体的事実)がどのようなものであったかを場面想定できるほどに聞き出していく必要があります。これをファクトファインディングと呼びます。

一番避けたいのは、周りくどい聞き方やひねった質問をしたがゆえに結局わからなかったということです。重視しているポイントはダイレクトに聞きましょう。「あなたがリーダーシップを発揮したのはどのようなことですか?」といった風にです。そこから「なぜそう思うのか?」を深掘りしていきます。

ここまでやっても判断に迷う場合があります。迷った際に考えるべき軸は2つあります。ひとつは面接の段階、もうひとつは「知識・経験で選ぶのか、人物タイプで選ぶのか?」ということです。

面接の段階による判断

1次面接など初期段階の面接では「最後に迷ったら上げる」、後半段階の面接では「最後に迷ったら落とす」という鉄則があります。

知識・経験で選ぶのか、人物タイプで選ぶのか?

結論から言ってしまうと、知識・経験よりも人物タイプで選ぶべきということです。理由は3つあります。

  1. 人物タイプは見極めることが可能な反面、知識・経験については見誤る可能性が高い
  2. いくら知識・経験が豊富でも人物タイプが合わなければ持てる力を発揮できない可能性がある
  3. 万が一思っていたほどの力量を本人が有していなかった場合に、人物タイプが合っていないがゆえに周囲が嫌悪感を持ってしまう

1と2に関しては容易に想像できますが、3については言われて初めて「なるほど」と思う人も多いのではないでしょうか。例えば TEAM GEEK では「チームの文化」を大切にするということが書かれています。

おわりに

採用面接には決断が伴います。いや、採用面接「にも」と言うべきでしょうか。ともあれ決断の時、材料が全て出揃った状態で臨めることはまずありません。私たちはいつでも、不確実な要素を抱えたまま決断しなければならないのです。

決断について、心に響いた著者の言葉を紹介して終わりにしたいと思います。

決断とは決めるということと、その決めたことを後悔しないためにもう一方への想いを断ち切って、前を向いて思考して行動することである。

以上、このエントリでは「面接の強化書」の内容をまとめました。

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